4年生が東京学芸大学硬式野球部での時間や仲間、最後の一年にかける思いを語る「最後の春に向けて」。今回は主務、小黒寧々(4年/長岡)です。それではお読みください!
こんにちは。平素より東京学芸大学硬式野球部へご支援・ご声援を賜り、誠にありがとうございます。東京学芸大学硬式野球部主務の小黒寧々です。拙い文章ですが最後までご覧頂けますと幸いです。
高校野球からマネージャーを始めて早7年が経とうとしています。「なぜマネージャーをしているのか」と人に聞かれることもあれば、たまに自問自答することもありますが、正直その答えは自分でもよく分かっていません。答えるとするならば、ただただ「野球が好きだから」という一言に尽きると思います。
数あるスポーツの内でなぜ野球に惹かれたのか。その答えを考えたときに、ある一つの結論に至りました。それは、時に野球は”奇跡”をもたらすスポーツであり、この”奇跡”こそが野球を象徴する魅力なのではないかということです。今思えば私が野球部のマネージャーになりたいと思ったのもその”奇跡”を目撃したからに他なりません。弟の学童大会でのサヨナラヒットや、中学2年生の時に地元の球場で見た高校野球県大会決勝のサヨナラホームラン。「一振りで試合がひっくり返る」「9回3アウト目を掴むまではどちらが勝者になり得るか分からない」。そんな偶発性が重要な要素を占めている野球というスポーツの魅力に私はまんまと取り憑かれてしまいました。高校野球、大学野球を通して何度もその”奇跡”に遭遇してきましたが、大学野球を味わってより「最後まで分からない」という言葉の意味が深く分かったような気がします。力が拮抗すればするほど”奇跡”の重みが増し、周りの人を感動させることができる。それが野球の面白さであり、人々を惹きつける魅力なのだと感じています。
そんな野球に魅了された私も今年がマネージャー最後の年になり、主務という責任ある立場を任せていただきました。至らないところも多くありますが、頼もしい後輩マネージャーの皆のおかげで自分なりにチームのことを考え仕事をこなすことができています。しかしながら、今年に入ってからも新型コロナウイルスの影響を受け、1月から2月の間は全く活動することができませんでした。前部長の金子一彦先生のご尽力もあって3月から練習を再開することができましたが、改めて野球ができる素晴らしさを感じています。
今年で終わるのかと思うとマネージャーの意義ややりがいについても考えを巡らせることがありますが、それ以上に最近よく思うのは自分は絶対にプレーできないなということです。必要とされる動きが多いだけでなく、セオリーもたくさんあること、ルールが複雑すぎること、何より130km/h以上の球を打つなんて到底できません。野球を知れば知るほど自分がプレーするのは無理だと感じます(笑)。だからこそ私は選手達を本当に尊敬しています。冒頭で述べたように野球は”奇跡”が起きるスポーツです。バットを振り続けたからといって毎打席ホームランが打てるわけでもないし、毎日投げ込んだからと言って完全試合を達成できるわけでもない。それでも練習に打ちこめば、その一球がどこかの試合で起こる”奇跡”に繋がっていると私は思います。マネージャーは彼らが起こす”奇跡”に直接携わることはできません。でもそのために練習の環境を整えることや、部を維持するために必要な仕事を行うことが、少なからずその”奇跡”に繋がっているのではないかと思います。
以上を踏まえてマネージャーのやりがいは何なのか、自分なりに1つの答えを出してみました。
「彼らが起こす”奇跡”を一番近くで見届けることができる。」
これこそがマネージャーのやりがいであると感じます。少なくとも私が大学までマネージャーを続けたのはこの楽しさを味わいたかったからです。この選択が間違いではなかったと今でははっきり思えます。
たくさんのことを教えてくださった先輩方、可愛い後輩達、そして頼りになる同期達のために、この春リーグは私がチームのためにできることを一つずつやっていきます。野球に絶対は無いし、たらればもありません。一球一球の結果が全てです。ひたむきに野球に取り組む彼らがこの春リーグではどんな”奇跡”を見せてくれるのか、選手達に期待しています。
最後になりますが、今後とも東京学芸大学硬式野球部を何卒宜しくお願いいたします。